2026.10.14
アーティストインタビュー
【ヨハネス・モーザー インタビュー】何世代にもわたり一族が受け継いだ、ドイツ音楽の伝統
父はチェリスト、母はソプラノという、5世代にわたり音楽家を輩出するミュンヘンの音楽一家に生まれたヨハネス・モーザー。
「私の家族には、ドイツ音楽の伝統と深い結びつきがあります。曽祖父は、ブラームスやシューマンと親しかったヨーゼフ・ヨアヒムと仕事をした人で、ブラームスやクララ・シューマンに会っています(ロベルトはすでに亡くなっていました)。子供の頃から両親の音楽を聴き、教育を受けたことで、私の音楽は形作られました。この系譜の一員であることを誇りに思っています。今回はシューマンのチェロ協奏曲で、一族が受け継いできたものをお届けできるでしょう」
このチェロ協奏曲との出会いも子供の頃のこと。
「片面にドヴォルザーク、反対の面にシューマンのチェロ協奏曲が入ったカセットを毎日聴いていましたが、20代半ばに初めて勉強した時、作品の見え方が変わりました。シューマンは心の浮き沈みが激しく、一緒にいた家族は大変だったと思いますが、その豊かな内面世界と移ろいやすい性格こそが彼の芸術を特徴付けています。同時代の多くの作曲家が音楽で物語を語るほうに向かったのに対し(シューマンがワーグナーやリストを嫌ったのはそのためです)、純粋に感情を反映する新しい音楽を夢見ていたのでしょう」
モーザーが最初に手にした楽器はヴァイオリンだったが、「とにかく練習が苦痛で、周りで聴いている人も苦痛だったと思う。才能がないのが自分でわかった」と振り返る。
「でもチェロとはすぐに恋に落ち、強い結びつきを感じ、それが今日までずっと続いています。練習も大好きです!」
その後、2002年のチャイコフスキーコンクール最高位がキャリアの転機だったのかと思いきや、すぐには仕事が増えず、自ら指揮者にコンタクトして演奏を聴いてもらうことで機会を作ったという。今もチェロの新レパートリーの開拓や、ユニークなコラボレーションに積極的だ。
「どんな音楽家も、“誰かが自分を待ってくれていると思わず、機会と聴衆は自ら作らなくては”という意識を持つべきです。
新しい挑戦をしなければ伝統を尊重できませんし、逆に伝統なしには新しいプロジェクトも生まれません。最近はアイスランドの作曲家、アンナ・ソルヴァルドスドッティルの協奏曲に積極的に取り組み、世界各地で演奏しています。いつか日本でも披露できることを願っています!」
忙しい毎日だが、クリエイティヴな活動を刺激し、支えてくれるのは家族だという。
「2歳の娘とロボット工学者の素晴らしい妻が、私のインスピレーションの源です。美術館で人間の表現の新しい方法を知ることも刺激になります。あと、コロナの時期に料理をするようになってから、市場で食材を買い、キッチンで家族のために料理をして静かな時間を過ごすことも大好きです。
今回の来日では日本食をとても楽しみにしていますが、料理をするようになってから、食べるだけでなくそれがどう作られたのかを知ることにも興味を持つようになりました」
兵庫県立芸術文化センターの舞台に立つのは18年ぶり。注意深く耳を傾けてくれる日本の聴衆の前で演奏することを楽しみにしていると話してくれた。
高坂 はる香(音楽ライター)
《プロフィール》
ヨハネス・モーザー(チェロ)
「最も卓越した存在のひとり」と称賛されたドイツ系カナダ人チェリスト、ヨハネス・モーザーは、数多くの世界的オーケストラと共演するなど、常にチェロ界を牽引してきている。現代音楽の良き理解者であり、新作チェロ作品の委嘱における第一人者として国際的に重要な役割を担っている。ゲリンガス教授に師事し、2002年チャイコフスキー国際コンクールで最高位を獲得。使用楽器は、1694年製アンドレア・グァルネリのチェロ(個人コレクション)。
「私の家族には、ドイツ音楽の伝統と深い結びつきがあります。曽祖父は、ブラームスやシューマンと親しかったヨーゼフ・ヨアヒムと仕事をした人で、ブラームスやクララ・シューマンに会っています(ロベルトはすでに亡くなっていました)。子供の頃から両親の音楽を聴き、教育を受けたことで、私の音楽は形作られました。この系譜の一員であることを誇りに思っています。今回はシューマンのチェロ協奏曲で、一族が受け継いできたものをお届けできるでしょう」
このチェロ協奏曲との出会いも子供の頃のこと。
「片面にドヴォルザーク、反対の面にシューマンのチェロ協奏曲が入ったカセットを毎日聴いていましたが、20代半ばに初めて勉強した時、作品の見え方が変わりました。シューマンは心の浮き沈みが激しく、一緒にいた家族は大変だったと思いますが、その豊かな内面世界と移ろいやすい性格こそが彼の芸術を特徴付けています。同時代の多くの作曲家が音楽で物語を語るほうに向かったのに対し(シューマンがワーグナーやリストを嫌ったのはそのためです)、純粋に感情を反映する新しい音楽を夢見ていたのでしょう」
モーザーが最初に手にした楽器はヴァイオリンだったが、「とにかく練習が苦痛で、周りで聴いている人も苦痛だったと思う。才能がないのが自分でわかった」と振り返る。
「でもチェロとはすぐに恋に落ち、強い結びつきを感じ、それが今日までずっと続いています。練習も大好きです!」
その後、2002年のチャイコフスキーコンクール最高位がキャリアの転機だったのかと思いきや、すぐには仕事が増えず、自ら指揮者にコンタクトして演奏を聴いてもらうことで機会を作ったという。今もチェロの新レパートリーの開拓や、ユニークなコラボレーションに積極的だ。
「どんな音楽家も、“誰かが自分を待ってくれていると思わず、機会と聴衆は自ら作らなくては”という意識を持つべきです。
新しい挑戦をしなければ伝統を尊重できませんし、逆に伝統なしには新しいプロジェクトも生まれません。最近はアイスランドの作曲家、アンナ・ソルヴァルドスドッティルの協奏曲に積極的に取り組み、世界各地で演奏しています。いつか日本でも披露できることを願っています!」
忙しい毎日だが、クリエイティヴな活動を刺激し、支えてくれるのは家族だという。
「2歳の娘とロボット工学者の素晴らしい妻が、私のインスピレーションの源です。美術館で人間の表現の新しい方法を知ることも刺激になります。あと、コロナの時期に料理をするようになってから、市場で食材を買い、キッチンで家族のために料理をして静かな時間を過ごすことも大好きです。
今回の来日では日本食をとても楽しみにしていますが、料理をするようになってから、食べるだけでなくそれがどう作られたのかを知ることにも興味を持つようになりました」
兵庫県立芸術文化センターの舞台に立つのは18年ぶり。注意深く耳を傾けてくれる日本の聴衆の前で演奏することを楽しみにしていると話してくれた。
高坂 はる香(音楽ライター)
《プロフィール》
ヨハネス・モーザー(チェロ)
「最も卓越した存在のひとり」と称賛されたドイツ系カナダ人チェリスト、ヨハネス・モーザーは、数多くの世界的オーケストラと共演するなど、常にチェロ界を牽引してきている。現代音楽の良き理解者であり、新作チェロ作品の委嘱における第一人者として国際的に重要な役割を担っている。ゲリンガス教授に師事し、2002年チャイコフスキー国際コンクールで最高位を獲得。使用楽器は、1694年製アンドレア・グァルネリのチェロ(個人コレクション)。
兵庫芸術文化センター管弦楽団 第172回定期演奏会
ユベール・スダーン シューマン&英雄
【日時】
2026年10月16日(金)・17日(土)・18日(日)各日3:00pm開演
【会場】
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】
指揮:ユベール・スダーン
チェロ:ヨハネス・モーザー
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】
シューマン:劇音楽「マンフレッド」序曲 op.115
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129
ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 op.55「英雄」
チケットのご予約・公演詳細はこちら
ユベール・スダーン シューマン&英雄
【日時】
2026年10月16日(金)・17日(土)・18日(日)各日3:00pm開演
【会場】
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】
指揮:ユベール・スダーン
チェロ:ヨハネス・モーザー
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】
シューマン:劇音楽「マンフレッド」序曲 op.115
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129
ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 op.55「英雄」
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