【シュテファン・ドール インタビュー】ベルリン・フィル首席ホルン界のレジェンド待望のPAC定期初登場
2025.01.31
アーティストインタビュー

【シュテファン・ドール インタビュー】ベルリン・フィル首席ホルン界のレジェンド待望のPAC定期初登場

第157回定期演奏会ソリストはシュテファン・ドール。コロナ禍の2021年PAC定期で出演が叶わなかった名ホルン奏者が、待望のPAC定期初登場を果たします!

――細川俊夫のホルン協奏曲「開花のとき」の物語に何を感じますか?
技術的に難しい曲の最大の問題は、演奏に集中するあまり、音楽面への意識が散漫になってしまうことです。
しかし俊夫のこの協奏曲は、今や私の中で別の段階に入りました。この数年で育ち、演奏のたびに親しい友を訪ねるような気持ちになります。すべての物語を知っていたはずなのに、その中に別の物語もあると気づき、新しい側面を発見する感覚です。

――モーツァルトのホルン協奏曲第3番の魅力、難しいところは?
実は第3番は、4番まであるホルン協奏曲のうち、モーツァルトが最後に完成させた作品です。少し独特の、もしかするとより暗く、ロマンティックな音の色を感じるかもしれません。技術的に難しいのは中低音域を吹く時です。すべての音を均一、かつ豊かに響かせなくてはなりません。

――ホルンとはどう出会ったのですか?生涯をかけて向き合う楽器となったきっかけは?
7、8歳の頃、おばが小さなハンティング・ホルンをプレゼントしてくれて、私はそれを家の周りの森で兄弟を追いかけるときに吹いていました。
その後、街の教会のクリスマスコンサートでホルンとオルガンの演奏を聴く機会があったのです。彼は同じ街に住むホルン奏者で、私はその演奏を聴き、すぐホルンの音色と恋に落ちました。

――ところで日本食がお好きだそうですね。関西で楽しみにしている食べ物は?
関西といえば、神戸牛やお好み焼きがすぐ思い浮かびます。日本食は大好きです。きつねうどん、うなぎ、たこ焼き……何から食べようかな?

――経験を積んだ音楽家として若いPACメンバーに何を伝えたいですか? 
私は舞台に立つ機会を毎回とても楽しみにしています。情熱を感じるものを仕事にできるのはすばらしいことです。若いみなさんにはそんなふうに幸せなキャリアを築いてほしいです。
PACメンバーとは対照的に、私の奏者としてのキャリアは最後の時期にさしかかろうとしています。音楽への情熱で彼らにモチベーションを与えることができたら嬉しいです。

インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)

《プロフィール》
シュテファン・ドール(ホルン)
ベルリン・フィル首席ホルン奏者。エッセンとケルンで学び、バイロイト祝祭管、ベルリン・ドイツ響等の首席ホルン奏者を歴任。ソリストとして、アバド、バレンボイム、ティーレマンなど著名指揮者と共演。現代音楽にも意欲的で、新作初演も数多い。

兵庫芸術文化センター管弦楽団 第158回定期演奏会
川瀬賢太郎 モーツァルト&シベリウス

【日時】2025年3月7日(金)・8日(土)・9日(日)各日3:00pm開演
【会場】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】指揮:川瀬 賢太郎
    ホルン:シュテファン・ドール

    管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】細川俊夫:ホルン協奏曲 ー 開花の時 ー
    モーツァルト:ホルン協奏曲 第3番
    シベリウス:交響曲 第5番

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