【中川 英二郎 インタビュー】オールジャンルのスーパープレイヤーがPAC定期で魅せるもの
2024.12.19
アーティストインタビュー

【中川 英二郎 インタビュー】オールジャンルのスーパープレイヤーがPAC定期で魅せるもの

第157回定期演奏会ソリストは、トロンボニスト中川英二郎。PACとの初共演を前に、お話を伺いました。

――PAC定期には初登場ですね。
はい、芸術文化センターにはこの12月にもディキシーランド・ジャズで出演しましたが、定期演奏会は初めてです!
アルミンクさんとは初共演ですが、「Trisense」を提案したら「ぜひやろう!」と言ってくださいました。トロンボーンの協奏曲はいくつもあるけれど、その中に誰もが知る定番曲がないので、それなら逆に楽器の魅力がよく伝わる自分の曲を演奏したいなと。

――どんな作品なのでしょう?
ポップなので、後半のブルックナーに比べると対極に聴こえると思います(笑)。
もともと、ジャズやインプロビゼーション(即興演奏)とクラシックを行ったり来たりする曲をというコンセプトで、2008年にトロンボーンとピアノのために書いた作品です。
オーケストラ版は、作曲家である兄が編曲してくれました。トロンボーンはテナーの楽器なので、オーケストラの中でソロを吹くと音域的に埋もれがちなんです。兄は劇伴も手がけているので、本作では映画音楽的に、オーケストラが華やかな部分とトロンボーンがしっかり聴ける部分のコントラストをつけ、うまく編曲してくれました。
あと、もともと2〜4人のアンサンブルを想定して書いた曲なので、かなりリズムがタイトで、大人数で表現するのは難しいところがあるのですが、そこは兄のテクニックでうまくオーケストラに落とし込んでくれました。僕にはできないことです! 

――トロンボーンの魅力を存分に教えてくれる曲なのですね。
トロンボーンは、普段オーケストラだとアンサンブルで縁の下の力持ちの役割をすることが多いですが、ソロで吹くとかなり迫力があります。特に僕はボリュームも大きい方なので、2000名の大ホールでも目の前で吹いているように感じていただけるでしょう。
あと、僕の曲は“Ear Warm”―耳から離れず口ずさんでしまう音楽だと言われることがとても多いんです。いい音楽を聴いたなと感じて帰っていただけたら嬉しいですね!

インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)

《プロフィール》
中川 英二郎(トロンボーン)
5歳でトロンボーンを始め、映画、CM、TVなど多くの録音でも知られる。18年、J.アレッシらと「SLIDE MONSTERS」を結成。19年、豪メルボルンにて「International Jazz Day 」に出演。読売日本交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団等と共演し、ジャンルを超えて活躍している。

兵庫芸術文化センター管弦楽団 第157回定期演奏会
アルミンク ブルックナー7番

【日時】2025年2月21日(金)・22日(土)・23日(日)各日3:00pm開演
【会場】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】指揮:クリスティアン・アルミンク
    トロンボーン:中川 英二郎

    管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】中川英二郎:Trisense
    ブルックナー:交響曲 第7番

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