【ハンスィエルク・シェレンベルガー インタビュー】妻のシュースと共に練り上げるモーツァルトの解釈
2024.02.05
アーティストインタビュー

【ハンスィエルク・シェレンベルガー インタビュー】妻のシュースと共に練り上げるモーツァルトの解釈

第148回定期演奏会にて指揮とオーボエの『吹き振り』を披露するハンスイェルク・シェレンベルガー特別インタビュー今回の聴きどころを伺いました。

――今回はベートーヴェンの「運命」というマスターピースを含むプログラムを取り上げます。
ベートーヴェンの交響曲第5番は、ベートーヴェンの作品のみならず、すべての音楽のなかでも最も有名な楽曲の一つです。とても人気のある交響曲だからこそ、演奏するのはいつもとても難しい挑戦でもあります。私はオーボエ奏者としての長いキャリアの中、カラヤンやアバドのような大指揮者と多くの経験をし、この作品を深く理解することになりました。今回はそれを活かし、良い演奏ができればと思っています。

――モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲では、奥様であるハーピストのマルギット=アナ・シュースさんとともに、オーボエとハープ版で吹き振りされます。
今度の日本での公演で、このすばらしいモーツァルトの協奏曲をフルートでなくオーボエで演奏するということは、私と妻の念願でした。結婚して30年以上になる私たちは、もちろんお互いのことをよく知っているし、一緒に多くのコンサートで演奏していますので、今回も解釈を練り上げた音楽をお届けできると思います。私たちはいつも音楽についてしっかり話し合います。時には生産的な衝突をすることもありながら、ともに音楽を生むというインスピレーションに満ちたコミュニケーションを重ねています.

――オーボエ奏者として長いキャリアを積まれた後、
どのようにして指揮者になろうと思われたのですか?
若い頃はオーボエだけでなく、指揮や数学も勉強していました。その後は一旦オーボエ一筋の人生を送るようになりましたが、1995年から指揮も再開しました。するとこれがとても順調だったので、だんだんオーボエ奏者と指揮者の活動を両立する形になっていったのです。そこで2001年、愛するオーケストラだったベルリン・フィルを離れ、フリーのソリスト兼指揮者として新たな道を歩むことになりました。

――日本にはどんな印象がありますか?楽しみにしていることはありますか?
1967年以来、日本には100回以上来ています。私は日本という国、文化、すばらしい食事、そして特に、お互いを尊重し、友好的に接する日本人の振る舞いが大好きです!

インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)

《プロフィール》
ハンスイェルク・シェレンベルガー指揮・オーボエ
1948年生まれ。大変な音楽好きの両親の元で育ち、早くから音楽に強い興味を持った。13歳からオーボエを始め、その後、ミュンヘンとデトモルトにおいてオーボエ、指揮法、そして数学を勉強。ミュンヘンのARDコンクール(1972)を含む主要な音楽コンクールで入賞後、ケルン放響のソロ・オーボエ奏者を経て1980年1月から2001年夏までベルリン・フィルのソロ・オーボエ奏者を務める。退団後は、指揮者、ソリスト、教育者の仕事を中心に活躍している。
これまでにソリストとして、カラヤン、ジュリーニ、アッバード、ムーティ、レヴァインなどの著名な指揮者と共演。室内楽奏者としては、アンサンブル・ウィーン=ベルリンを中心に多彩な活動をしてきた。また、1991年にはハイドン・アンサンブル・ベルリンを設立、芸術監督を務めた。
2013年度から2022年3月末まで岡山フィル首席指揮者、2021/2022シーズンより3年間ベルリン交響楽団首席指揮者を務めた。マドリードのソフィア高等音楽院で教授、3年に1回開かれる国際オーボエコンクール・東京の審査委員長を務めている。


兵庫芸術文化センター管弦楽団 第148回定期演奏会
シェレンベルガー モーツァルト&ベートーヴェン「運命」
【日時】2024年2月9日(金)・10日(土)・11日(日)各日3:00pm開演
【会場】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】指揮・オーボエ:ハンスイェルク・シェレンベルガー
    ハープ:マルギット=アナ・シュース

    管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(オーボエとハープ版)
    ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 op.67「運命」

チケットのご予約・公演詳細はこちら