【アンドレアス・オッテンザマー インタビュー】ウィーンのスタイルの核心を体現するシューベルトの音楽
2025.09.23
アーティストインタビュー

【アンドレアス・オッテンザマー インタビュー】ウィーンのスタイルの核心を体現するシューベルトの音楽

第163回定期演奏会は、アンドレアス・オッテンザマー氏がPAC定期初登場!2025年2月までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者として活躍し、指揮者としてさらに飛躍するオッテンザマーに今回の聴きどころを伺いました。

――メンデルスゾーンとシューベルトという組み合わせは、どのように選ばれたのでしようか?

このプログラムは、とても輝かしくインスピレーションに満ちた音楽体験を与えてくれるでしよう。両者には音楽史的にも美しいつながりがあります。シューベルトの死後、彼の書斎でシューマンがこの交響曲第8番「ザ・グレイト」の楽譜が埋もれているのを見つけ、それから数年後にこの名作を初演に導いた人物は、他でもないメンデルスゾーンです。

――ソリストのヴェロニカ・エーベルレさんはどんなヴァイオリニストですか?
ヴェロニカのことは何年も前から知っていて、私はこれまでクラリネット奏者として室内楽でたくさん共演してきました。指揮者としてご一緒したのは最近で、まさにこのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が私たちを結びつけました。私は彼女の演奏の優雅さと情熱のバランスがとても好きです。

――シューベルトの交響曲「ザ・グレイト」を演奏するおもしろさや難しさは?
最大のチャレンジは、長大で規模が大きい点です。頭の中で考えているうち、大きな重い音楽の塊のように思えてくることがあります。
しかし実は最も軽やかな音楽の一つです。民謡にインスパイアされた部分も豊富で、常に踊りの要素が込められているので、そのあたりを強調したいですね。

――人として作曲家として、シューベルトのどんなところがお好きですか?ウィーンで育った音楽家ならではの共感も多いでしょうか。
残念ながら私はシューベルトに会ったことがありませんが(笑)、彼がこのウィーンの街にいたことは確かに感じますし、それを思い出す機会もたくさんあります。彼はモーツァルト、べートーヴェン、ブラームス同様、“ウィーンの偉大な人物”の一人です。ある意味もっとも“ウィーンらしい”人物かもしれません。彼の音楽は、ウィーンのスタイルの核心を体現しているといえます。

――
日本、特に関西で楽しみにしていることや食べものはありますか?
日本には20年間ほぼ毎年訪れているので、私にとって第二の音楽の故郷です。最近は演奏会以外の目的でこの美しい国を探索しました(ニセコにスキーに行きました!)。楽しみにしていることリストの筆頭にはもちろん日本食があります。関西滞在中には、名物の牛肉やそば、ズワイガニなど、全部トライしたいですね。

インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)


《プロフィール》
アンドレアス・オッテンザマー(指揮)
クラリネット奏者、芸術監督、指揮者として、その卓越した音楽性と多才さで聴衆と批評家を魅了してやまない。
N響への指揮デビュー、バーゼル・チェンバーと共演など、活躍の場を広げる。1989年ウィーン生まれ。2011年から2025年までベルリン・フィル首席クラリネット奏者を務めた。

兵庫芸術文化センター管弦楽団 第163回定期演奏会
アンドレアス・オッテンザマー「ザ・グレイト」

【日時】2025年10月10日(金)・11日(土)・12日(日)各日3:00pm開演
【会場】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】指揮:アンドレアス・オッテンザマー
    ヴァイオリン:ヴェロニカ・エーベルレ

    管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
    シューベルト:交響曲 第8(9)番 ハ長調 D944「ザ・グレイト」

チケットのご予約・公演詳細はこちら