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【川瀬 賢太郎インタビュー】次代を担う期待のマエストロPAC定期再登場はシベリウスで!
2025年3月第157回定期演奏会の指揮は川瀬 賢太郎。コロナ禍の2021年PAC定期での共演が叶わなかった名ホルン奏者、シュテファン・ドールを迎えた2つのホルン協奏曲と、シベリウスの交響曲第5番のプログラムについて、お話しいただきました。
――シュテファン・ドールさんと共演する二つのホルン協奏曲は、もともと2021年のPAC定期に登場されたときに予定していたプログラムですね。
はい、なかでも細川俊夫さんの作品は、僕はオペラをはじめこれまでにいくつも演奏させていただいていますが、どこか日本人ならではの繊細さ、空気の張りつめたようなものを感じてとても好きです。例えば京都のお寺で少し風が吹いて木々がざわめくことに心が動く、日本人ならではの美的感覚のようなものが随所に見られます。楽譜を見ているだけだとどういうことだろうと思うけれど、実際に音を出してみると、体にすっと入ってくるんです。
細川さんの作品には、自然や生命の循環を結びつけたテーマを感じる作品が多い印象です。オペラにはまた別の世界がありますけれど。今回演奏するホルン協奏曲「開花のとき」は、花にスポットを当てながら、もっと大きなテーマ、命がどう花開き終わっていくのか、人の生き死にのようなものを扱っているように感じます。
ドールさんは、僕が大好きな指揮者、サイモン・ラトルさんが芸術監督を務めたベルリン・フィルで、ラトル時代より前から長らく首席ホルン奏者として活躍する方であり、この作品の初演者でもあります。いろいろ教えていただきながら、若いPACと細川ワールドを創っていけたらと思います。
――併せて演奏されるのは、シベリウスの交響曲第5番です。
これは、シベリウスが癌を患い、手術を経て回復したあとに書かれた作品です。死に直面した絶望から立ち直り、まだ生きていいんだという喜びを感じながら生きる日常では、景色の色鮮やかさが変わって見えるのではないかと思います。交響曲第5番からは、そんな生きていることへの感謝が感じられます。
生命の尊さ、生きることの素晴らしさをテーマに選んだプログラムです。
――PACとは二度目の共演になりますが、印象はいかがですか?
初めてPACを振ったとき、普段、他のオーケストラだと何もしなくてもうまくいくところがそうはいかないところもある……でも逆に一度火がついたときの若いエネルギーの爆発力はすごいと感じ、驚きました。思いもよらないことを考えさせられる楽しみだったり、うまく火をつけることができたときの喜びだったり、普段とは一味違うやりがいを感じますね。
特に今回演奏するシベリウスは、一筋縄ではいかない難しさがある作品なので、怖さ半分、楽しみ半分です!
インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)
《プロフィール》
川瀬 賢太郎(指揮)
1984年東京生まれ。名古屋フィル音楽監督就任。これまでに指揮を広上淳一など各氏に師事。2006年東京国際音楽コンクール〈指揮〉において2位(最高位)に入賞。OEKパーマネント・コンダクター、札幌交響楽団正指揮者。東京音楽大学作曲指揮専攻(指揮)特任講師。
兵庫芸術文化センター管弦楽団 第158回定期演奏会
川瀬賢太郎 モーツァルト&シベリウス
【日時】2025年3月7日(金)・8日(土)・9日(日)各日3:00pm開演
【会場】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】指揮:川瀬 賢太郎
ホルン:シュテファン・ドール
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】細川俊夫:ホルン協奏曲 ー 開花の時 ー
モーツァルト:ホルン協奏曲 第3番
シベリウス:交響曲 第5番
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