【中川優芽花 インタビュー】クララ・ハスキル優勝の逸材がPAC定期初登場!
2024.02.22
アーティストインタビュー

【中川優芽花 インタビュー】クララ・ハスキル優勝の逸材がPAC定期初登場!

第149回定期演奏会のソリストとして登場するのは、2021年クララ・ハスキル優勝を果たしたピアニスト、中川優芽花。PACとの初共演を前に、お話を伺いました。

――チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番にどんな魅力を感じますか?
子供の頃から憧れの曲で、2023年6月に初めて演奏する機会がありました。壮大な情景が描かれ、場面によってはバレエが思い浮かびます。チャイコフスキーはすばらしいバレエ音楽を書きましたが、この曲からも踊りたくなる楽しさを感じるパートがあります。かと思えば堂々とした力強い音楽も現れますし、そんなコロコロと変わる多面性が魅力です。私が今ワイマールで師事する先生はもともとロシアで学んだ方なので、自然と伝授されてきたものが生かされたらいいなと思っています。

――ロシアものの音を鳴らすために心がけていることは?
舞台ではどうしても力みがちですが、リラックスして体重を乗せて弾くこと、バスの音をしっかり鳴らすことです。

――力まないための本番前のルーティンはありますか?
準備運動とストレッチは必ずします!あと最 近、一度グーッと顔と体をこわばらせて力んだあと、ふっと力を抜くとリラックスできると聞いて、本当にうまくいくか試しています(笑)。

――デュッセルドルフで生まれ育ち、お姉さんの影響でピアノを始めたそうですね。
はい、小さい頃はなんでも姉の真似をしたがったので、ピアノへの興味ではなく、姉への執心がきっかけです(笑)。
15歳の頃、コンクールを受けるなかで若い有能な方々を見て自信をなくし、やめようと思ったこともありました。でもある講習会で海老彰子さんからポジティブなコメントをいただき、自信と勇気がわいてがんばってみようと思えるようになりました。演奏には一つの答えがありませんから、時々自分を見失いそうになります……その分自由でもありますが。それに、うまく演奏しなくてはと思うと自分が保てなくなります。簡単な道ではないけれど、音楽が好きだという一心で乗り越えてきたように思います。

――指揮のシルヴァン・カンブルランさん、同年代のPACとの共演に期待することはありますか?
先日カンブルランさんのインタビューを拝見したら、作曲家ごとの異なるスタイルを大切にしなくてはならないとお話しされていて、音楽を愛し、強いこだわりを持つ方なのだと思いました。間近でチャイコフスキーのスタイルを学びたいです!PACのみなさんと、今だからこそできる生きた音楽を奏でられたらと思います。

――兵庫のお客様に一言お願いします。
これまで大阪では、演奏して、たくさんたこ焼きを食べ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行った経験がありますが、兵庫に行くのは初めてです!西宮で弾けることをとても楽しみにしているので、ご来場いただけると嬉しいです。

インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)

《プロフィール》
中川 優芽花(ピアノ)
一度でもその演奏に接したものの心を捉えて離さない、久方ぶりの大器との評判の現在21歳のドイツに生まれ育った日本人ピアニスト。
2021年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝、併せて聴衆賞も獲得して以降注目を浴びている。2014年にドイツ連邦青少年音楽コンクールで満点を獲得して優勝を果たし、同年ワイマールの若いピアニストの為のフランツ・リスト国際コンクールで第2位を獲得。近年はデュッセルドルフのロベルト・シューマン国際コンクール(2019)およびイェネ=タカーチ国際コンクールにも優勝。クリスティアン・ツァハリアスの指揮の下、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番やモーツァルトの2台のピアノのための協奏曲KV365をはじめとしてオーケストラとの共演の機会も増え、ヴェルビエ音楽祭に出演2019年以降ウィグモア・ホール、トーンハレ、ワイマールハレなどで演奏する機会が増えている。
現在ワイマールのフランツ・リスト音楽大学においてグリゴリー・グルズマン教授のもと研鑽を積んでいる。


兵庫芸術文化センター管弦楽団 第149回定期演奏会
カンブルラン チャイコフスキー&幻想交響曲

【日時】2024年3月22日(金)・23日(土)・24日(日)各日3:00pm開演
【会場】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【出演】指揮:シルヴァン・カンブルラン
    ピアノ:中川優芽花

    管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【曲目】チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23
    ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14

チケットのご予約・公演詳細はこちら