今ではPAC春休みファミリーコンサートの“顔”となった岩村力さん。指揮だけでなく、自らマイクを手に取り進行役も行うなど、一人二役の大活躍!ここまで岩村さんがこのコンサートに情熱を傾ける訳は?お忙しい演奏会の合間にその想いを語っていただきました。
■ PAC春休みファミリーコンサートでの指揮は3度目となりますが、
岩村さんはこのようなファミリー向け演奏会には特別な想いがあるとお聞きしましたが。
私が子どもと大人が一緒になって楽しめるコンサートに積極的に取り組むようになったのは、20年ほど前でしょうか。子どもたちで構成された小編成アンサンブルの音楽指導を経験したことがきっかけでした。子どもたちはとても素直でこちらの気持ちを敏感に感じとりますから、ごまかしが効きません。私が疲れていると子どもたちもいい音を出せなくなるし、逆に元気に楽しんで指導するといきいきとした演奏をしてくれる。子どもの反応というのは自分たちを写しだす鏡であり、バロメーターであると感じたんです。それ以来、指揮者としてこのような普及型のコンサートに可能な限り携わりたいと思い、自分のライフワークのように思っています。このファミリーコンサートは、私にとってとても大切なコンサートです。

■ 今回も「楽器紹介」や「指揮体験」といったおなじみの企画に加え、リコーダーの
江崎浩司さんがゲストで来られて、ソロはもちろん、チャイコフスキーのバレエ
「くるみ割り人形」にもストーリーテラーで参加されるなど、盛りだくさんの内容
ですね。
楽器紹介や指揮者体験コーナーは、ワークショップのように子どもたちに音楽を体感してもらえますし、心理的にステージを近くに感じてもらえるので欠かせないですね。ゲストの江崎さんはリコーダーのテクニックもさることながら、アイデア豊富な方なのできっと楽しいステージになると思いますよ。
■ このコンサートの前には、淡路と和田山でも公演をされますね。
昨年の春休みから、このファミリーコンサートに合わせて、3歳以上から入場可能にした「子どものためのオーケストラ・コンサート」を、兵庫県内のホールで公演をするようになりました。こちらはより子ども対象の内容にするため、演奏曲も易しいものにし、公演時間も70分と短めです。このファミリーコンサートでは行いませんが、演奏会の最後は「エーデルワイス」を、お客様に楽器を持参してもらって、オーケストラと一緒に演奏します。これがなかなか感動ものなんですよね。西宮のお客様には少し遠い会場ですが、ぜひお越しください。
■ 最後に、コンサートに来られた子どもたちに、どういったことを感じてもらいたいとお思いですか?
コンサートそのものを家族みんなで楽しんでもらいたい、というのはもちろんなのですが、帰り道や家に着いてからも、コンサートの話題で楽しく語り合って欲しいですね。おじいちゃんおばあちゃんからお孫さんまで、世代を超えて一緒に楽しめるものってそう多くはないと思うんです。でも、音楽はそれが可能なんですよね。音楽を通じて家族の繋がりを深める手助けをすること、それが音楽家としての務めではないかと思っています。子どもたちの記憶にいつまでも残っていくような、そんなコンサートにしたいですね。